「おかぁさん」と「おとうさん」
—2020/8/24の日記.——————
娘は1人、早生まれの1歳5ヶ月の頃のことだった。
1歳2~3ヶ月目くらいから少しずつであるが言葉らしきものを話し始めた気がする。今でも50音をすべて正しく言えないせいか、文字数3文字の言葉なんかは1字で話たりする。きりんは「き」と話すようになっていた。
我が家では、嫁の意向で「お父さん」「お母さん」と呼ばせることにしたのだった。嫁の方から小さい子が「ママ」より「おかぁさん」と呼ぶほうが可愛いといったそんな理由だった気がする。それに便乗してか、わたしの母、つまりは娘の祖母は「おばあちゃん」ではなく、「おばあちゃま」と呼んでほしいと言う。「おばあちゃん」は年老いた気になるから嫌だという。なんとも呼び名の注文の多い家庭で生まれてしまった娘は大変だろう。
「お母さん」に至るまで「かぁー」「おか(あ)さん」などと発音が進化していき今では「おかぁさん」と呼べるようになっている。
一方で「おとうさんは?」と聞くと、なかなか近い音が出てこない。
ある休みの日、「お母さん、は?」と娘にきくと「おか(あ)さん」、「お父さんは?」といつも通りのやり取りで聞くと、娘からは
「ポポ」
と返ってきた。聞き間違えなのか、なにかと勘違いしてか、もう一度聞いてみる。
自分「お母さんは?」
娘「おかさん」
自分「お父さんは?」
娘「ポポ」
自分「ポポ?!」
誰から習ってポポになったのか、全く見当がつかなかったが、娘はわたしを「ポポ」と認識している。一体ポポとはどこから来た、誰なんだろうか。
このやり取りが、何度も続くと嫁もとうとう「ポポ」と呼び出した。「おとうさん」であれば「とーと」「おとさん」などの展開を心待ちにしていた矢先「ポポ」になってしまうとはなんとも残念な気持ちでいっぱいだ。なんで「ママ」と「パパ」で最初から教えなかったのか・・・
我が家はベッドでなく川の字で寝ている。布団の真ん中で寝てる1歳半の娘は、どうやら寝るのが下手なようで、夜中もぐるぐる旋回する。
昨日だろうか、夜中に目が冷めてぐるぐる転がってきて目が冷めた様子だった。ぐるぐるの旋回が多すぎるときはだいたい起きている。
近くまで旋回してくると、娘は頭をもたげてこう言った。
「・・・ポポッ」
わたしは目が冷めていたが、これで反応してしまったら、これからも「ポポ」になってしまうと思い、反応はしない。どこかの本に子どもにやめてほしいときは、無反応が一番。子どもはリアクションする親が大好きで、「ダメ!」なんてリアクションしてはいけませんと書いてあった。
お父さんと呼ばれる日がくることを願って、今日もお父さんは「おとうさん」を娘に練習させている。